映画「私は貝になりたい」を見て ・・・ 速報!
先日封切りされた話題作「私は貝になりたい」の劇場公開に早速行ってまいりました。小学生の頃、家の白黒テレビで父の背中越しに見たあの強烈な印象。再び映画としてリメイクされた作品はどんなだろう・・・そんな期待を胸にシートに座りました。
■「私は貝になりたい」を見たのは都合3作
私の記憶する限り過去に上演され、そして実際に自分の目で見たのは、テレビドラマで2作。そして今回の映画で都合3作。なかでも強烈なインパクトがあるのが、やはり初演のフランキー堺さん主演のテレビドラマ。
もうあれから50年もたつのだと思うと感慨もひとしおです。白黒テレビで見たいくつかのシーンは、今でも脳裏に焼き付いています。約半世紀前の記憶をオーバーラップしながら、今回の作品にコメントを加えてみました。
■その壱・・・フランキー堺さん主演のテレビドラマ
初演は、1958年に故フランキー堺さん主演によるテレビドラマ。もちろんモノクロ作品。
田舎の平凡な理髪店主が、太平洋戦争で上司の命令で捕虜を刺殺しようとした罪(実際には怪我をさせただけ)のためにC級戦犯として処刑されるまでを描いた衝撃的な内容。テレビそのものが普及していくなか、日本のテレビドラマ史上において金字塔をうちたてた作品。
フランキー堺さんの迫真の演技が、多くの視聴者の感動をよびラストの13階段で「私は貝になりたい」とつぶやく印象的なシーンでは、終戦から戦後、その傷もまだ癒えない日本の世相に多くの感動の渦に包み込み、のちに芸術祭大賞を受賞することとなりました。
■その弐・・・中村師童さん主演のテレビドラマ
次にドラマ化されたのは、2007年。日本テレビ系列で終戦記念番組として制作された作品。前作、といっても約半世紀の隔たりがあるが、このドラマは、実録の戦争及び戦後体験をもとにしたドキュメンタリー。
実在の元陸軍中尉・加藤哲太郎さんの手記『私は貝になりたい~あるBC級戦犯の叫び』をもとに、人生を描いていく作品だ。ストーリーをもとにドラマは展開していく。
初演の58年度番は、脚色されたフィクションだったため、今回は加藤哲太郎さんの本当の人生をリアルに追っていく。戦後さらなる生き地獄を体験し、後に作家として反戦活動を続けた男の、真実の生きざまが胸を打つ。
昭和15年に陸軍に召集された加藤哲太郎さんは、昭和20年の終戦時、新潟で俘虜収容所の所長をしていた。大学卒で英語に堪能だった彼は、その能力を買われ、米英の高級将校の多い新潟の収容所の所長になったのだった。
やがて終戦を迎え、部下たちを救うため、あるひとつの決断をする。それは数ヶ月に前に起きた脱走事件で、逃げた捕虜を射殺してしまったことの罪を負い、一人で逃亡することだった・・・。
この作品では歌舞伎界のニューリーダー中村獅童さんの好演が光ります。
■その参・・・平成20年度版「私は貝になりたい」
ストーリーそのものは、初演とほぼ同じ。脚本も初演と同じ橋本忍さん。キャスティングとしては主演に中居正広さん、そしてその妻に仲間由紀恵さん。平和な現代に生まれ育った世代の彼らが役者として、いかにこの物語を演じきるか・・・そのあたりが見どころです。
連日のごとくテレビCMも放映され、戦争の現実、乱暴さ、いわゆる東京裁判の戦犯についての裁き、また平和について改めて考えてみるなど、若い世代に歴史の史実を伝えるきっかけになるのではないでしょうか?
あとは、見てのお楽しみ。この映画は、DVDよりもぜひ劇場映画として多くの観衆のなかでみて頂きたい作品だと思います。
■その四・・・最後の台詞
「房江、健一、お父さんは2時間ほどしたら遠い遠いとこへ行ってしまいます。もう一度逢いたい、もう一度暮らしたい・・・」。
「お父さんは生まれ変わっても人間なんかにはなりたくありません、人間なんていやだ。もし生まれ変わっても牛か馬の方いい、いや牛や馬ならまた人間にひどい目にあわされる」。
「どうしても生まれ変わらなければならないのなら、いっそ深い海の底の貝にでも・・・そうだ貝がいい」。
「貝だったら深い海の底でへばりついていればいいからなんの心配もありません。深い海の底だったら戦争もない、兵隊にとられることもない」。
「房江や賢一のことを心配することもない」。
「どうしても生まれ変わらなければならないなら、私は貝になりたい・・・」。
■エピローグ・・・(1)
平和な時代に生きている私たちにとっては、不幸な戦争で犠牲になられた方の礎のうえで毎日暮らしています。今が幸せかどうかは、様々な議論があるでしょう・・・。でもたった、60年前にはこんな悲惨なドラマそして極限の状況が日本にもあった。そう考えると平和を貪る現在の日本で抱える諸問題は一体なんだろう・・・。日常茶飯事のように世間を騒がす凶悪事件、そして混迷を極める政局。どこへいくんだこれからの日本・・・。
「平和」・・・その有り難さをかみしめながら、一日本国民としてこれからの人生を大事に生きて参りたいと思います。
■エピローグ・・・(2)
ドラマの進行とともに映し出される映像がとても美しい、そして久石譲さんの音楽もまたいい。桜の咲く春、昔はどこにでもあっただろう里山の風景。そして映画のテーマでもある「海」。それも穏やかな海、一転して冬の荒れ狂う海など、映像を通して相澤克雄監督の美意識がビンビンと伝わってきます。この映画のもう一つの魅力は、日本の原風景を見ることができること・・・そう感じました。
拙文を最後までご覧頂き誠に有り難うございました
写真は、映画館で頂いたパンフレットです。











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