松井誠さんの「御園座特別公演」観劇記
師走のある日、知り合いの方から松井誠さんの「御園座特別公演」のお誘いをいただきました。
ブログで度々大衆演劇を中心としたテーマで日記を綴っておりますが、この世界を知ったのは、ほんの数年前のこと。渡世人言葉でいうと、まだまだ「かけ出しの未熟者」。
しかしながら、一度知ってしまうと、はまってしまうのが「大衆演劇」。爾来年間50本の観劇を目標に各地の芝居小屋めぐりをしている次第でございます。
■松井誠さんの公演は初めて
前述のように、大衆演劇ファンとしては未だ「かけ出しの未熟者」。
一方「松井誠さん」は、大衆演劇界出身ながら、今やその人気と実力でテレビドラマの出演やメジャーな劇場で1ヶ月公演を張る大スター。名古屋でいうと「中日劇場」、「御園座」公演以外はお目にかかれない存在です。
演歌、クラッシック、ロックなどの鑑賞のため大きな会場に足をはこぶことがあるものの、「芝居だけは大衆演劇が一番」と信じる小生にとって「松井誠さん」の存在は、大衆演劇の枠組とは違う異次元の世界の役者さんと思っていました。しかもその舞台の木戸銭ときたら、大衆演劇の入場料にもう一桁「0」がつく位の高嶺の花。
ここで主題のテーマから脇道にそれますが、以前に一度ブログにアップロードした「大衆演劇の魅力」について、改めてお伝えさせていただきたい思います。
■大衆演劇の魅力・・・その壱
大衆演劇は、「一度見れば、はまる」とよく云われます。最近でいうと「早乙女太一」に代表される華やかな世界のみが、マスコミでもてはやされていますが、あれはごく一部の断面。私が考える大衆演劇は、それぞれの劇団のカラーこそ違え、「本当に芝居好きの劇団が公演」し、「芝居好きのお客さん」が観ている。
それが大衆演劇な魅力を醸し出しているといっても過言ではありません。
■大衆演劇の魅力・・・その弐
お芝居の出し物は、と言えば、ご存知「瞼の母」、「国定忠治」をはじめとする股旅ものはもちろんのこと、泉鏡花の「婦系図(湯島の白梅)」、歌舞伎の「恋飛脚大和往来・梅川忠兵衛」や「白浪五人男」など本格的なお芝居も観ることができます。
その内容といえば、新派や歌舞伎の「人気だけが先行したタレント気取りの役者」をはるかに凌ぐセリフ廻しと演技力を持つ役者さんも数多く見かけられます。
お芝居のあとには、「舞踊・歌謡ショウ」などがあり、至れり尽くせり、たっぷりと楽しめる3時間。これだけの内容で木戸銭は、映画と同じ位の千数百円。いまどきこんな「お値打ち感のある娯楽」は、大衆演劇をおいて他にはありません。
■大衆演劇の魅力・・・その参
芝居が終われば、役者さんが、入り口でお客さんを見送ってくれる「送り出し」というしきたり。そこでお客さんは「今日の芝居と踊りはよかった。また今度くるよ」と声をかけ、握手して帰る。まさに至福の時を過ごしたことになります。
贔屓の劇団を見た日には、バーゲンセールでお得な掘り出しものを見つけたあの優越感。「ああ人生とは、なんて素晴らしいものか・・・」。
♪恋は優し、野辺の花よ・・・あの浅草オペラの一小節を口ずさみたい気分になります。
■大衆演劇の魅力・・・その四
写真が撮れることも、小生にとって大きな魅力の一つです。もちろん、いつでもいいというわけではなく、一定のマナーはありますが、とにかく生で見たお芝居を後で、じっくり写真で楽しむことができる。その写真にコメントを添えて、同じ劇団のファンの方同士と、メールで意見を交換しあうなど楽しみ方はどんどん広がって参ります。
「我思う、ゆえに我あり」かの哲学者デカルトの言葉は、置きかえると「大衆思う、ゆえに大衆あり」・・・この思想は、まさに大衆演劇のためにあるのではないでしょうか。
■本論に戻り、松井誠さんの「御園座特別公演」の印象
第一部「桜吹雪忠臣蔵・我が命雪に舞え」は、討ち入りに至るまでの赤穂浪士四十八番目の義士「木崎伊織(松井誠)」と「戸田の局(朝岡雪路)」をめぐる悲しくも美しい感動物語。
さすが、御園座の大舞台だけに照明のライティング、効果音や花道からの登場など迫力満点のステージ。書割(かきわり)の家や木などの大道具も見事。終章では、雪降る場面の印象的なフィナーレで幕切れとなりました。
第二部「豪華絢爛・誠版レビュー」は、題して「雪の舞・華の舞」。
これぞ「松井誠さん」の本領発揮。まさに大衆演劇の「舞踊・歌謡ショウ」の大型劇場版。立ち役の美しさ、妖しいまでに艶やかな「女形」。古典舞踊から新舞踊、華麗なダンスに太鼓ショウなど超盛りだくさんの内容で、第一部のシリアスなお芝居から見事な切り返し。
■エピローグ・・・「率直な感想」と「素直な感動」
正直言って、第一部のお芝居は、日頃からいろいろなお外題をみていますので、それほど・・・という感じ。
が、しかし第二部「豪華絢爛・誠版レビュー」になるやこれぞ大衆演劇の真骨頂。歌って踊って、お客さまを「誠ワールド」の陶酔の世界に引き込んでしまう・・・さすが大衆演劇で鍛えた松井誠さんの本領発揮で、朝丘雪路さんとのコンビもぴったり。
びっくりしたのは、太鼓ショウのあと舞台の天井から雨が降り出すサプライズ、ずぶ濡れの浴衣姿のまま、下駄でタップダンス。これには驚きました。
立ち役、女形を取っ替え引っ替え舞台上で七変化の大活躍。途中、劇団座長としての口上挨拶もありフィナーレの緞帳が下がる際には、舞台に幕が下りるわずかな隙間になると、寝ころんでまでお客様に手をふる徹底したサービスぶり・・・。
■おまけのエンディング・・・大衆演劇の心をいつまでも
松井誠さんの女形は、その美しさから「生きる博多人形」、あるいは「故 長谷川一夫の再来」といわれるほど。これからも大衆演劇の心を忘れず、メジャーな世界で更なるご活躍を祈るしだいです。
劇場ロビーでの「送り出し」こそなかったものの大満足の4時間。興奮さめやらぬ浮き浮きとした気分で家路につきました。
長々とした拙文を最後までご覧いただき、誠に有り難うございました。
P.S.
写真は、終演後の御園座界隈(油絵風)と公演案内のパンフレットです。








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